昨年12月16日に、日本エンゲージメント協会が始動して1周年を記念して、JEAEA代表理事小屋、佐々木、顧問の船川、土屋、メンバーの古屋の5名による一周年記念セミナーを開催致しました。
今回の登壇者
session1 代表理事 佐々木拓哉
まずオープニングトークを飾ったのは佐々木代表理事です。
テーマは
①簡単な自己紹介
②今の気持ち
③「セルフ」「ワーク」「ソーシャル」でしっくりきていること、しっくりきていないこと
参加者全員で自己紹介をし、アイスブレイクで参加者皆様の緊張がほぐれました。
session2 副代表理事 土屋裕介
土屋の講演では「実事例で見るエンゲージ組織の作り方」について日本とエンゲージのスコアの紹介と、エンゲージメントが高い企業を5社紹介しました。
日本のエンゲージのスコアは、世界と比べると全ての項目において圧倒的に低く、アジアの中でも最下位に位置しています。
しかし、日本にも高いエンゲージメントを誇る会社はあります!
今回は中でもエンゲージメントが高い5社に土屋が実際に出向き、その企業の様子を紹介しました。
本レポートでは、5社の中から数社ピックアップしてご紹介します!
《1社目Google》
Googleにはお菓子やジュースが無料で置いているスペースが1フロアに4箇所ぐらいあるそうです。
それぞれ置いているお菓子が違うそうで、その理由を聞いてみると、「交流を生み出したいから」という回答。
例えばクッキーが好きな人は、クッキー置いているフロアに取りに行かないといけないですし、紅茶が好きな人は置いている場所に行かなければなりません。
そこで会話が生まれイノベーションが起こるというのです。
実際に土屋が「本当なのか?」と疑問を持ちながら観察していると、クッキーを取りに来たスタッフが対話を始めたそうです。
こういう文化形成をするための仕掛けがあるからとはいえ、実際の姿を見て、
「こういう対話も重要だ」と感じたそうです。また社員の皆さんが日常的にエンゲージメントという言葉を使用していて、エンゲージメントを高めることが当たり前のように浸透していることに驚きがあったとのことでした。
《2社目RICOHジャパン》
RICOHジャパンは、フリーアドレスにしたり、有給を1時間単位で取れるようにしたり、リモートワークを導入したりと、コツコツと改革をしています。その結果社員が働きやすくなり、データとしてもエンゲージメントが向上していたそうです。
精力的に取り組めばエンゲージメントを上げることが出来ることを目の当たりにした企業だったと紹介しました。
他3社も含め今回ピックアップした5社を並べてみるとある共通点に気付いたようです。
それは「トップがエンゲージメントにコミットしている」、「具体的な策としてサーベイを実施していて結果に結びつけている」の2つでした。
これらからわかるように、成功している会社とエンゲージメントは切っても切り離せない存在だということが分かります。
session3 古屋博子
テーマは「今年一年を強みで振り返ろう ~2020年を迎える前に~」。
古屋は反省会よりも成功会をして、成功を振り返らないと、人は飛躍したパフォーマンスは出せないと考えています。
でもなぜか、会社では成功よりも失敗を振り返る機会が多いので、一周年記念講演では、その考えを払拭するために「成功を振り返るのっていいことだな」と体感してもらおうと考え、このテーマを設定したとのことです。
まずはグループディスカッション。
参加者に目を閉じてもらい、年間に起こったことを想像してもらいました。
想像した出来事の中からポジティブな出来事を選び、
・あなたの人生の中でどのような位置づけにありますか?
・その中でポジティブなことのうち、今考えるとどうやってできたのか?
・それは、自分のどういう強みを活かして達成したのか?
について各グループで意見を交換しました。
グループの発表では、
・就活の中で嫌なこともあるけど、それを自分は楽しみたい。
その後、後輩たちの役に立ちたい
・ラグビーのボランティアをやることで思いもよらない計画が出てきた。
パートナーと話をすると「気になったらやっちゃった方がいいよね」
など様々な気づきによる提案があったようです。
20分という時間があっという間に過ぎ、最後に古屋から参加者に向けて、こんな言葉が送られました。
「皆さん、覚えておいていただきたいんです。この話をした時の皆さんのお顔は、本当にほぐれていました。そして、同時に話が尽きなかった。そして発表者の方が言ってくれましたが、「話したから気づけた」と言ってくださいました。~中略~ 今日グループで話をしてみてどうでしょうか?距離が近くなりませんでしたか?相手の見えている部分と見えていない部分、ストレングスファインダーは見えていない部分で繋がるために活用して欲しいと思います」
session4 代表理事 小屋一雄
テーマは「フィリピンの子供達とCNNヒーローに教わったライフ・エンゲージメント」。
フィリピンのマニラ郊外で生まれたエフレン・ペニャフロリダ氏のもとにクライアント企業の次世代リーダー5人を連れて訪問し、ボランティアをするという企画を実施した際の話をしました。
エフレンはフィリピンに必要なのはお金ではなく教育だと考え、出張の学校を運営しています。
その活動をCNNの編集者が見て、「素晴らしい活動をしている」と報道し、2010年の米CNNヒーロー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれました。
小屋はこのボランティア活動を振り返り、次のように話しました。
「マニラ郊外にはトイレとお風呂とプールを兼ねた水場があるほど貧困の地域ですが、そこにいた子供達は笑顔だった。それを見た5人の次世代リーダーは、仕事に役立つことは何も変わっていないけれども、仕事で使う言葉遣いが変わった。」
小屋は別の機会にもう一人ヒーローに会っていたそうです。
その人はエフレンを紹介してくれた東條さん。
移動中の会話の中で、小屋の内面にある自分でも気づいていない気持ちと向き合わせ、正直にさせてくれた人でした。
小屋は彼に次のような質問をしました。
・ボランティアなんて自己満足なんじゃないの?
・日本でも困っている人がいるのに、なんでフィリピンでボランティアをやっているの?
上記のように色々な問答をする中で、
『自分がやっている仕事が’せこい’という恐れを感じているのだろう』と気付きます。
そしてさらに、人の子供達の笑顔が素敵だから好きでやっているんだ。
お金儲けをしている方が偉いとか、そういうことを競っているのではないのだという本質にも気づきました。
その時、『あぁ、自分の中にコンサルタントとして11年やってきたという自信と、適当にやってきたんじゃないかという不安な気持ちとがあって、ボランティアをやっている彼に東條さんというキャラクターを通して文句を言いたかったんじゃないか』と、さらに気づきます。
そしてこの気づきこそが、「ライフエンゲージメントだ」と小屋が気づいた瞬間でした。
話変わって、一年前のキックオフミーティングから一周年記念講演まで、そして次の一年間について次のように話しました。
”去年のJEA理事メンバーとのキックオフミーティング時に『定義づけできない存在でいたい』と宣言しました。
今回の一周年記念では『日本で唯一「一般社団法人Buzzword協会」のメンバーであることを自認している一般社団法人日本エンゲージメント協会である」ということを宣言します。
これからもBuzzword協会の一員である我々しかできないことをやっていきますので、宜しくお願いします!”
※Buzzword協会、気になった方はエンゲージメント研究会の時に小屋に質問してみてください!
session5 顧問 船川淳志
テーマは「グローバル人材育成2.0宣言」サブタイトルは「やはり愛が足りなかった…」です。
今から15年前の2005年、グローバル育成が黎明期から成長期に入った時期。
その時期にグローバル育成の中心人物として関与していたそうです。
そして1周年記念講演のあった2019年12月16日、グローバル人材2.0宣言をしました!
船川から「愛」をカタカナ、もしくは英語で何て言いますか?という課題が出されました。
(答えはレポートの最後にわかります!)
続いて、自己紹介を挟んで次の4つのテーマで話をしました。
・「なぜDXは実現せず、CXは絵にかいた餅に成り下がるのか」
・「なぜ、理系と文系のバカの壁はなくならないのか」
・「なぜ、先陣から学ばずに、哲学しないのか」
・「なぜ基礎科学を理解しようとしないのか」
まずDXはなぜ実現せず、CXは絵にかいた餅に成り下がるのかについてです。
サンダーバードでMBAの資格を獲得後シリコンバレーで4年修行した後、日本に帰ってくると
『なぜ日本人は悪意なく、わかったふりをしてしまうのか』ということにカルチャーショックを受けたそうです。
このカルチャーショックを受けて、「講義の最中に『この言葉がわからない』というのがあれば言って欲しい」、
そして『言葉に対するsensibilityを高めておかないと、頭が悪くなってしまう』と受講生に訴えかけました。
続いては理系と文系のバカの壁はなくならないのかについてです。
「大学院生のための頭の使い方」という本を5年前に出版したが、その中で文部科学省の3つの大きな過ちを挙げていると言います。
1つ目:正しい答えを常に求めた結果、一問一答の呪縛に囚われているということ
2つ目:知っている・知らないで終わってしまい、考えることを放棄させたこと
3つ目:理系と文系のバカの壁
ここでは「なぜ、先陣から学ばずに、哲学しないのか、人間は思考しているのだから学部に関係なく哲学しなさい」と言葉を述べました。
4つ目:なぜ基礎科学を理解しようとしないのか
基礎科学とはbasic scienceとhistory、そして言語とartを楽しむ、この4つです。
basic scienceを理解すると大体のことは理解できるので、中学校の勉強に戻って欲しいとのことです。
※ただし、コンテンツがどれぐらいアップデートしているのかを見て欲しいとのことです
船川がこれらのことを考えるきっかけになったのは
「船川さん、そんなビジネス社会をつくり教育をしてきたアンタが原因じゃないの?」ということを
問いかけた「ある人」がいたからだそうです。
その人とは「エンゲージメント協会代表理事の小屋」でした(笑)
この言葉を受けて船川も「ハッ」としたそうです。
「だよね。私も尻ぬぐいをしなければならないな」と。
そして講演の最初に出された「愛」の質問に戻ります!
Philos、Agape等ありますが、船川はマザーテレサの「愛の反対は無関心」から、愛を「好奇心」とし、
さらに好奇心をCuriosityという一語ではなく、INTELCTUAL APETITEとRELENTLESS CURIOUSTYの2つで表現しました。
例えばロボットが出て、「あれって何?」と知りたい、これを突き詰めると「あなたのことを知りたい」となるはずとのことです。
そして最後に、「自分が作ったものはエンゲージメントなんです。したがってこの機会に皆さんのライフエンゲージメントは何なのかを知りたい。何か困ったら小屋、古屋、土屋、佐々木に話をしてください。
1年目はもたつきましたが、2年目からは本気を出しますので、こうご期待!」と講演を締めくくりました。
以上エンゲージメント協会講師陣による一周年記念講演会でした。
講演会終了後は、参加者と講師とで懇親会を行いました。
参加者同士で交流を深めたり、講師に直接質問をしたりと有意義な時間になったようです。
JEAは2020年も会員の皆様にとってお役に立てる情報を発信して参りますので、今年も宜しくお願い致します!