第7回エンゲージメント研究会 開催レポート

今回は、代表理事の小屋と副代表理事の土屋の2人で「コロナショック環境下におけるエンゲージメント」というテーマで開催しました。

 

初めてのZoomでの開催にも関わらず多くの方々にご参加いただき、ブレークアウトルームを活用して学びを深めていただきました。

●オープニングトーク コロナ戦時下でどんな働き方をしているのか

オープニングは、コロナ状況下において
・どんな働き方をしているのか
・どう働き方が変化して、それに対してどう対応しているのか
この2つのテーマについて4つのグループに分かれてグループディスカッションを行いました。

各グループの発表の中には
・平日朝起きてから夜寝るまで仕事をしてしまったり、夕食後に仕事が気になってしまい続きをやってしまったりと、オンとオフの切替えが難しい
・会社と比べると椅子などの座り心地が良くないなど働く環境が良くない
・これを機に自炊を始めたり、ダイエットを始めたりした
・出勤していたころは子供の寝顔しか見られなかったが、在宅になって触れ合う時間が増えた
以上のような意見が出ていました。

 

テーマ1 楽しくない仕事は、なぜ楽しくないのか

このテーマを話すにあたって小屋は大林監督との対談を紹介しました。
その時の内容と想いを、次のように語っています。

彼は、「時をかける少女」や「天国にいちばん近い島」などの映画作品を作成した監督です。
この対談で小屋が大林監督から感銘を受けたエピソードが2つあります。

①大林監督は先輩の黒沢監督から「君は若いから、これからも新しい未来のために映画を作れるだろう。それをやってくれ。
そうすれば400年後には『戦争なんて馬鹿げたことをする人たちがいたのね』と語られるような本当の平和が訪れるだろう」と言われたそうです。
映画はそんな未来を作ることが出来ると。
「今すぐは出来なくても、バトンを渡し続ければいつかは叶うだろう」という言葉に感銘を受けました。

②ピカソがナチス爆撃を描いた作品「ゲルニカ」について大林監督と話をしました。
普通は爆撃された街並みや被害者のことを描くそうですが、ピカソはそれをしませんでした。
ゲルニカはキュビズムを使用して子供が見ても楽しいと思える作品にし、深いところでゲルニカの悲劇を伝えています。
写実派の絵だったら記録としてしか残っていなかったかもしれませんが、それを芸術のジャーナリズムにしたからこそ現在まで残っているのではないかと話してくださいました。
私はこの話を聞き、ビジネスマンにも同じことが出来るのではないかと考えました。
ビジネスマンだからこそできる発想、創れるインパクトをポップにして、時代を作るための手段として利用出来ないかと思っていて、今後こういうことを皆さんとも話していきたいと思っています。

テーマ2 コロナ戦時下のエンゲージメント

コロナ下において自分や、メンバー、顧客、コミュニティ、組織の安全を守ることのプライオリティが高くなってきている、その中で上司には信頼は共感などが必要になっていると小屋は説明し、実際の自分の経験を次のように話しました。

「私がアメリカにいた1999年~2003年までテレビ会議システムを使用して会議をしていました。
しかし会議の話題についていけないこともあり、テレビ会議は苦手でした。
そんな時に上司がやってくれたことが、会議中に一度オフラインにて、小屋さんの理解度を確認し、わからない所は解説してくれて、意見があるかどうかを聞いてくれたことでした。
私に意見があることを上司が知ると、それを発表する時間を作ってくれたのです。 これがエンゲージメントに繋がりました。
この経験からオンラインで話すだけではなく、オフラインでの会話が非常に大事であることを実感しました」

ここでいうオンラインとは明確なゴールや正確な情報の共有などで、オフラインは雑談や感情的な安心感、信頼感などです。今はこのオフラインをどうやって作るのかが重要になっているとのことでした。

さらに次のような点もリーダーに求められる能力として付け加えました。
「従来の上司の役割はビジョンを伝えたり、ゴールを設定したりすることでしたが、今本当に大事なのは人生設計を支援することではないかと思います。私が過去に支援をした素晴らしい中小企業に共通していることは、社員の人生設計が出来ていることです。人生設計とは、想いや悩みを受け止めたり、自分自身のストーリーを語ったりすることが出来ていることであり、これが今後リーダーに求められる能力になるかもしれません」

テーマ3 ナラティブ・アプローチ

小屋はナラティブ・アプローチについて、次のようにまとめました。
「個人は人生のストーリー、つまり心の中に『語り』を持っていて、例えばセミナーの冒頭に話した最近の2ヵ月間のことのような無駄話がこれから大切になってきます。
ストーリーは単なる事実よりも22倍近く記憶されやすいと言われていて、人はストーリーの中の登場人物にエンゲージすると言われているようです。
個人やチーム、勝者、支える者、戦う者、こういった人たちにはストーリーがあり、必ず積み重なって出来上がります。そしてこのストーリーは自分に正直であることが重要であり、自分にしか発見できません」

続いては土屋から「リモートワーク下におけるエンゲージメントの高め方への考察」について紹介がありました。

まずは、「先入観を捨てること」と「ヴァーチャルチームを率いるリーダーに求められるもの」という2つのテーマについて土屋が調べたことを以下のように紹介しました。

インプット① 先入観を捨てること

「顔を合わせないと仕事が進まない」という先入観を捨てる必要があります。
関係構築が行われ、効率的に運営されたヴァーチャルチームは、リアルチームより高い成果を挙げることが出来たという結果があります。
多くの企業でテレワークの導入は労務管理の難しさなどが課題に挙げられていますが、導入してしまえば解決してしまうことも多いようです。
リモートワークの可能性として、移動などによる生産性の向上や地域に縛られず幅広い人材の確保が出来るといったメリットもあります。

インプット② ヴァーチャルチームを率いるリーダーに求められるもの

ヴァーチャルチームが抱える課題として、コミュニケーションの遅滞やレスポンスの不足から生じる誤解などがあります。
重要なのは監視や管理をせずとも、メンバーが自らの役割と責任を認識し、自己管理するよう促すことです。
高頻度で定期的に連絡を取ったり、業務時間の徹底管理をしたりすることは一時的には効果がありますが、長期的に見るとエンゲージメントの低下を招いてしまいます。

管理や監視をせずとも自己管理が出来るようになるためには、
 1.個別事情を深く理解する
 2.メンバーが何をするべきなのかを明確にして定義する必要がある
 3.信頼関係の再構築
の3つが必要です。

このインプットを踏まえて、4つのグループに分かれてディスカッションを行いました。
テーマは
 ・解説の中で特に気になったWord
 ・自社・自チーム・自分が取り組む(取り組める)事
でした。

グループ発表では

・信頼関係の再構築によって権限移譲が進むことはいいことだが、上司が部下をフォローするという安心感もセットで渡さないと、部下は丸投げされたという感覚を持ってしまう。仕事を任せた上で相談の場を作ったり、いつでも相談できる環境を作ったりする必要がありそうだ
・幅広い人材確保が出来る点は良いが、個人の人生にどこまで踏み込むのかが難しいと感じた
といった意見がありました。

土屋は各グループの発表を受けて、
テレワークが長期間になった場合、短期的な業務には対応できても、長期的なものにどう対処するか、そしてセルフマネジメント力、エンゲージメントといったものをリーダーとしてどうやって作っていくのかが大事なポイントになってくると思います
と今回の研究会を締めくくりました。

 

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