【開催レポート】第12回エンゲージメント研究会β『(全3回)エンゲージメントを高めるレジリエンス資源 第3回』

第12回JEA研究会の開催報告をさせていただきます。
JEA代表理事の佐々木による「エンゲージメントを高めるレジリエンス資源」も最終回となりました。

これまでの個人と組織のレジリエンス資源でもお話させていただいてますが、資源が豊富な状態だと、エンゲージメントが高まり、それがウェルビーイングや会社業績にも良い影響があることがわかっています。

今回は『職務経験とレジリエンス』をテーマに、仕事の中でのレジリエンス資源の増やし方や、これらの資源が豊富なときの良い状態についてお話させていただきました。

※個人と組織のレジリエンス資源のついては、過去のレポートをご覧ください
 【開催レポート】第8回研究会『エンゲージメントを高めるレジリエンス資源 第1回』
  
https://www.engagement.or.jp/blog23

 【開催レポート】第10回研究会『組織のレジリエンス資源の増やし方 第2回』
  
https://www.engagement.or.jp/glog22

研究会の始めには、受講者の皆様に自身や会社の状態を知るアセスメントを受検して頂きました。
アセスメントは今回の研究会のために、その場で結果がわかる手軽なものを作成しております。参加者の皆さんが自分の資源の状態について明らかになったところで研究会スタートです。

今回は『職務経験における5つの資源』について詳しくご説明していきます。

職務経験における5つの資源とは

1.自律性

「自分の意志で行動したいという欲求」です。
コンプライアンスが厳しい、規律順守を重んじるなどといった職場環境だと、メンバーの自律性を阻害することがあります。

職場メンバーの自律性を加速させるには、
・論理的に説明する
・やり方ではなく結果を明示する
・自身で解決方法を模索させ、試行錯誤したことを評価する
・マイナスの感情を理解する
・過度な報酬重視をやめる
上記のことが有効です。

研究会ではこの後に、『自律性を阻害する要因』や『自律性を加速させる働き方や制度』など、職場において実践的な情報を提供させていただきました。

 2.多様性

様々な業務経験をすることが、レジリエンスやエンゲージメントに良い影響があることが分かっています。その裏付けとなるデータの一部を抜粋します。

 ・1つの仕事に注力すると、1日の生産性は高まるが、一定の期間でみると、様々な業務経験がある社員一人当たりの生産性が向上している
・多種多様な職務経験を積んだ社員の方が、職場定着率が高い

 多様性の視点で業務を見直すことが大切となります。
例えば、会議のあり方一つをとっても、時間、場所、内容にバリエーションを持たせたほうが、業務に多様性をもたらします。

 では具体的にどんな職場が多様性をもたらすのでしょうか?
ここで、ブレイクアウトルームに別れ、参加者の皆様同士が、自分の職場の多様性について考え、シェアしました。

 以下に、出てきた意見の一部を抜粋します。
・入社10年を目途に、3つの部署での業務を経験させ、多様性のある働き方を経験させている
・社員には様々な業務を経験させ、一定の時期に専門家かジェネラリストなのかを判断している

この他にも、多数の事例をシェアしていただきましたが、各自が自身のアセスメント結果をふまえ、職場の多様性についての課題に気づくことができた様子でした。 

3.強み

ここでは、ストレングスファインダーの結果をベースに強みを活かした時のメリットを紹介しました。

 強みを活かすと、
・ストレスを感じにくく疲れにくい
・楽観性やレジリエンスが生まれる
・幸福感や充足感が生まれる

その他にも、ギャラップ社の調査結果から、優秀なマネージャーは強みに着目していること、そしてその注目ポイント、強みを活かした時に得られる業績や生産性、エンゲージメントへの影響に関するデータなどを明示しております。

それらデータを下に、『上司や部下、同僚から強みを引き出す質問』をワークで実践しました。
参加者の皆さんが、自分だけでなく、周囲の人の強みの活かし方について理解を深めていきました。

4.構造

『組織において自律性を加速させるための枠組み』のことになります。
組織で用いられている構造として重要なのは『メンバーの役割を明確にする』というとです。役割を曖昧にすると、自律性を妨げてしまうので、リーダーはこの重要性について理解しておかなければいけません。

自律性を発揮している組織の構造の例として、自衛隊の規律についてあげました。
自衛隊は、一見すると規律が厳しく自律性を発揮しにくい印象をもつかもしれませんが、実は一定の枠組みの中で、隊員達は自分自身の判断で行動することになっているため、自律性が加速されている構造、とのことで紹介されました。

リーダーやマネージャーがこの構造を理解することが、職場でのレジリエンス資源を豊富にすることに繋がります。

5.人間関係

良い人間関係の効果については誰もが実感としてあると思いますが、具体的な効果を示す研究データを説明されました。

紹介されたデータの一部を以下に抜粋します。
・職場に最高の友人がいる人は、そうでない人と比べ、仕事に対するエンゲージメントが7倍異なる
・友人が1人いるだけで、壁にぶつかった時に、その壁が低く感じられる
・『あなたの成功を望んでいる人』の存在は、自信や幸福度、帰属意識に繋がる

こういったことからも、職場で良い人間関係を作る大切さが分かります。
そんな人間関係を作るためには『ポジティブなエネルギーを放出している』イメージが大切です。
ギャラップの調査データからも、周囲に良い影響を与えている人は、自身や周囲の人の幸福度を高めているというデータがあります。

研究会の中では、『ポジティブなエネルギーを放出する』ための具体的なコミュニケーション手法についていくつかご紹介しました。

また、短時間で良い人間関係を作ることができるワークも紹介しました。こちらは簡単で非常に効果的なため、以下に方法をご紹介させていただきます。

 ◆短時間で人間関係を作るワーク『互恵の輪』◆
① 大きな輪を描き、その線上に自分の困りごとを書いたポストイットを貼る
② 大きな輪に沿って貼られたポストイットを全員で見て、アドバイスできるものを見つけたら、別のポストイットにそのアドバイスを書いて貼る
③ ①と②のポストイットを書いた人を繋げ、コミュニケーションを取る

 例えば、初めて顔を合わせる人が多い場合、また短時間で関係構築が必要な場合の手法として用いられています。

職務経験に関わる5つのレジリエンス資源については以上となります。
研究会の中では、これらを詳細にお話しし、ワークを通して理解を深めているので、参加された皆さんそれぞれに多くの気付きがあったようです。

おわりに

研究会の最後には、参加者がブレイクアウトルームに分かれて本日の学びをシェアしました。

 レジリエンス資源に関して、3回のセミナーを通してお話しまして、ご参加くださった方から以下のようなありがたいコメントをいただいておりますので、その一部を抜粋します。

 「各メンバーの役割をハッキリさせることを学べて良かった」
「良くわかっていなかったレジリエンスについて、しっかり学べる良い機会となりました」

研究会終了後は、皆さん活き活きした表情になり、まさにレジリエンス資源が豊富になった状態であったのではないでしょうか。このまま明日から、レジリエンスを発揮していただければ幸いです。

今回のレジリエンス資源の内容について詳しく知りたいという方は、ぜひ当協会にお問い合わせいただければと思います。

最後までお読みいただきましてありがとうございました!次回もお楽しみに!

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