今回の第4回JEAエンゲージメント研究会は『ATD』をテーマにお送りしました!
ATDとは?
ATDとは人材開発、組織開発の分野で出版、認証などを行っている団体が開催している世界最大級の人財育成に関するイベントです。
世界中から1万人以上の企業の人材開発担当者や、コンサルタント、教育機関、行政のリーダーなどが参加し、最新トレンドの情報交換が行われる場となっており、今年はワシントンで開催されました。
今回の研究会登壇者は3名!
ATDが今回初めてのJEA副代表 土屋
ATDに過去何度も参加している株式会社ビジネスコンサルタント 廣瀬氏
ATDにブースを出展しているユームテクノロジージャパン株式会社 小仁氏
それぞれの視点でATDについて話をしていただきました!
まずは副代表理事の土屋、『初視察者から見たATD2019の紹介』からスタートです。
ATDの前に…
ATDの前にワシントンの文化から衝撃を受けた、土屋はワシントンの街並みから紹介!
レンタル電動スクーターの充電は充電をしてくれた方にチップが入る仕組みになっており、町の人が自宅に持ち帰って充電しているようです。
日本では規制が厳しくてできない!このようなことが出来る国はイノベーションも多く生まれることに深く感動と衝撃を受け、熱弁をしていました。
ATD会場正面にあるApple storeもデザイン性が高くてお洒落です!
ATDの雰囲気について
ATD入口付近に世界地図があり、来場者が自分の名刺を貼るコーナー
日本が非常に多く、有名なHR関連企業が目に付きました。
ATDは大きくセミナーを聴くスタイルとブースを巡るスタイルがありますが、今回、土屋からはブースをメインでご紹介。
今年は82カテゴリー、460のブースが展開されていました。
その中でも目立っていたのがe‐learning系のブースで、システムを展示。
知識やノウハウを学ぶよりも、学習するスタイルが主流になる時代の変化を感じたようです。
ブースでは強く営業されるというより、企業の考え方や、ビジネス方針(理念)を紹介される方がメインで、肩ひじを張る必要はないとのことでした。
他国のHR事情
ATDでは世界各国のHR関係者が集まっているので、お国のHR事情も紹介されていました。
中国
・ファーウェイなどの優良ハイテク企業は教育投資に積極的
・大手未満や官公庁などは人材育成に対しての投資は活発ではなく知識も浅い傾向
/
サウジアラビア
・外国人労働者がとても多い
・人材の流出はあまりなく、他国の優秀人材を受け入れている傾向。今後の更なる発展を楽しみにしていた。
アメリカ
・アメリカの人からすると、AIは日本の方が進んでいる印象だったとのこと。
・”エンゲージメント”については意識しているものではなく、「自社を良い方向に導く」ことを自然に思っている。
土屋によるATD総まとめ
・HRはノウハウからテクノロジーへ完全移行
→後日行った日本のHRエキスポでも同様の傾向
・エンゲージメントは既に常識レベルに!
→”モチベーション”と言う言葉は出ずに、”エンゲージメント”に言葉が移行
・オープンで柔軟な考え方や姿勢に、危機感を抱いた
→会場にはバスケットボールのゲームブースやアイス、お酒を配っているブースがある柔軟さ!!
続いて、ATDに過去何度も参加している株式会社ビジネスコンサルタントの廣瀬氏からレポートの報告をいただきました!
ATDの予備情報
まずは、女性ならではの視点で、ATDにはヒールNGとのこと!
会場内は歩き回るので、スーツの人はほとんどおらず、カジュアルな服装にスニーカーがATD向けのスタイルだそうです。
これは、貴重な生の声です!
今年は日本からの参加は227人で、国別ランキングでは3位。
韓国が369人とトップで、2年前に比べて参加人数が100人増えてきました。
2019ATDの内容と傾向
土屋はブースの紹介でしたが、廣瀬氏はセッションについてお話をしてくれました!
今年は12カテゴリーで421セッション開催されていました。
セッションの中でも、『インストラクションデザイン』『リーダーシップ開発』『ラーニングテクノロジー』この3つが安定的に増加中であり、注目されているカテゴリーとのこと。
そして、テクノロジーの進化から私たちはどのように対応していくべきか今年は具体的な発表が得ることが出来たのが大きな収穫のように感じました。
① テクノロジーの進化
AIやVRなども機械学習のセッションだけでなく、「Re skilling」の必然性とその方向性やworkforce MIXなどのセッションが見られた。
※Re skilling:AIが職場に労働力として入ってくるとき、人間はどんなスキルが必要なのか、スキルの磨き直しが必要なのか再学習すること。
② 組織形態の変化
テクノロジーの進化により、有機的組織が実現される環境になってきた関係で、
1970年代に終息した組織論が再注目されるようになりました。
組織形態の変化によって急速に求められているのはご存知、Teal組織です。
また、3年ほど前から心理的安全性が必ず取り上げられるようになってきており、
今年はエイミー・C・エドモンドンソン氏がパネルディスカッションに出てきたのが話題となりました。
CEOが知っておくべきworkforceのトレンド
アメリカでのデータではありますが、現状と今後について紹介されました。
現在
・43%が在宅業務
・4100万人が個人事業主
5年後
・労働者の50%が個人事業主
・内、97%は伝統的な仕事の仕方を望んでいない
・2030年までには労働力のたった9%のみがフルタイムワーカー
→今まで通りの組織形態や階層型では時代に合わなくなってくる。よって、Teal組織が求められている。そして、ミレニアル世代よりも先のZ世代(90年代後半~2010年代生まれ)についても紹介されました。
特徴:仕事はサラリーを稼ぐよりも、大きなパーパスを持つべきだと信じている。
背景:親がリーマンショックの影響を受けているのを10代の時に目の当たりにし、一つの企業に属しているだけでは切られたら終わってしまう。
都心はお金がかかるのでこだわらない。
地元でテレワークする環境を望んでいる。
背景とテクノロジーの進化を考えると働くことに対する意識が変わるのも納得してしまいます。
今年のゲストは?
ATD開催期間中は日替わりで著名人が参加しますが、今年はこの3名でした。
オプラ・ウィンフリー氏は廣瀬氏曰く、マツコ・デラックスさん×黒柳徹子さんのような方らしいです。
アメリカのTV番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」のTVホストとして有名な世界的メディアリーダー、慈善家、プロデューサー、女優です。アメリカ国内で最も大きい影響力を持つインフルエンサーの一人です。
セス・ゴーディン氏
起業家、ブロガー、スピーカーであり、18のベストセラー本を執筆。効果的なマーケティングやリーダーシップに始まり、アイデアの拡散や全体の変革に至るまで、多岐にわたっており、世界中の人々を触発しモチベーションの向上に寄与した人物です。
グラミー賞受賞作曲家・指揮者であり、画期的なバーチャル合唱Deep Fieldのクリエイターとして知られています。世界的著名なアーティストやオーケストラに楽曲を提供しています。
ATDはアメリカで開催されるので、言語に不安を感じる方もいるでしょうが、同時通訳もあり、ポケトークなどのツールでどうにかなるとのことでしたので、迷っている方は参加することをお勧めする!と、
廣瀬氏はおっしゃっていました!
ATDとLTENに参加して感じたことは?
続いてはATDにブースを出展された、ユームテクノロジージャパン株式会社の小仁氏にご登壇いただきました。
※UMUはAIをベースとしたパフォーマンスラーニングを推進するための革新的なラーニングプラットフォームです。
両イベントに参加して小仁氏が思ったことは『学びこそが、企業優位の唯一のポイント』であると、言うことです。
ATD、LTEN共に社内で試した人材開発、組織開発の取り組みを表彰する式がありますが、表彰されている企業には以下の共通点があったとのこと。
① 成長企業はテクノロジーをいち早く取り入れている
テクノロジーを入れた取り組みの発表をしている!
② 成長企業はデータ分析から洞察を得ている
モバイル学習ではログ履歴から何を学んでいるか、業績はどうなのか?等、データが取れるので、数字で証明をしています。最近ではHR部門にはデータ分析をするスペシャリストが入ってきている!
③ 成功企業はラーニングのROIを常に追いかけている
本当に投資対効果が出ているのかをしっかりと証明している!
ATDにブースを出展した側が感じるATDとは?
ATDのブース動画を見ながら会場の雰囲気を教えてもらいました!
確かにスタッフも含め皆さんカジュアルな服装で、日本のHR系イベントと雰囲気が全く違うのが窺えます。
学習したものを成果として出すためには、
練習→フィードバック&コーチングを繰り返すことが必要で大切。
そのためにUMUはAIをどのように使って効率的に向上させていくか等ブースでは紹介されていたそうです。
↑AI分析により話した言葉を文章化させるシステム
ATD全体的なトレンドとしてパフォーマンスを本気で向上するためには組織も個人も能力開発はどのようにしていくべきか?と、言う組織のパフォーマンスにイノベーションを起こす「ラーニングプラットフォームUMU」に関心のある方は左のロゴからHPも御覧ください!
研究会参加者の感想
・ATDと言うことについて、現場の雰囲気などについて触れることが出来て良かったです。
・ATDではテクノロジーは普通になっており、テクノロジーの進化と注目度に驚きました。
・組織の形の変化及び、個人事業主の普及によりティール組織の必要性が切迫しているのを感じた。 等々
人材開発について世界の最先端で何が話し合われているを知った参加者は多くの刺激を受けていた様子でした!
次回は10月30日(水)に第5回JEAエンゲージメント研究会を開催します。
テーマは
攻めのダイバーシティはアメリカ原発管理チームから学べ
~ダイナミックに成長する組織に必要な、Just Cultureリーダーシップとアンコンシャスバイアス~